先週末、Covid-19の感染拡大による2度目の緊急事態宣言の中、神奈川県藤沢市の南西部、辻堂の街に訪れた。駅前は家族や学生たちでが行き交い賑わっていて、口元のマスクを除けば束の間、2020年以前の光景が目の前に広がっているような心持ちになる。
駅から少し歩いた所にあるYさん邸も、この世界の喧騒をひととき忘れさせてくれるような、いやむしろ今だからこそ、しばし閉ざされた心の窓を開いてくれるような、そんな場所だ。辻堂周辺が地元のYさん夫婦は、アメリカ、中国で過ごして来た日々を経て、今この街に住んでいる。そんな2人の経験と思想が滲み出るようお宅には、アメリカの歴史を象徴するような雑貨や中国滞在時にチベットで購入した品々など、ご夫婦の旅の痕跡が至る所に散りばめられていて、世界中を脳内フィールドトリップ出来るような空間。
訪問の直前に次男Yくんの誕生日があり、長男のYくんと共に、兄弟が愛してやまないマリオのグッズが家中に散りばめられていた。誕生祝いの余韻に包まれたリビングスペースは、ご夫婦が数年前にこのお宅を購入した際、元々2部屋あった間取りから壁を取り除いて居間を拡張し、キッチンカウンターを設ける事で、広々とした、開放感溢れる家族の集いの場となっている。
訪れた土曜日はご夫婦もお休み。この日の午後は夫のYさんが「27 coffee roasters」で購入したフレンチブレンドとお菓子を囲んで家族団欒の時間。使い込まれたコーヒーミルで豆を挽いて、使いやすさ抜群のHarioのコーヒードリップとポットにお湯を注ぐ。電動コーヒーメーカーも使い勝手が良さそうだけれど、手間隙をかけてつくるコーヒーはとても美味しそう。また、ご夫婦が愛用しているヒースセラミックのコーヒーカップも、少しざらっとした独特のカップの口触りが家族で過ごす休日の温もりと合って、コーヒーの旨味を一層引き立てているように感じる。
当日強く印象に残ったのは、キッチンカウンター越しの家族の向き合い方。父を見守る息子、最近観た映画の感想を話す妻のYさんと向き合いながら、コーヒーを煎れるYさんを観て、ふと、キッチンに立って黙々と調理をする母の背中を眺めていた、私自身の家族の原風景を思い出していた。
「親の背を見て子は育つ。」昭和に生まれた自分にはまさにそんなシーンが記憶に埋め込まれているけど、これからは親と子が向かい合って、互いの様子を伝えたり、時にはただ見守り合いながら、家族の時間を積み重ねていく。そういう新しい家族のかたちが、家を包む雰囲気、キッチンとリビングの配置、家族の表情に表れている気がした。
夫のYさん、妻のYさん、長男のYくんに弟のYくん。(ちなみに名字もYです。)
こんなご時世の中、気付きや温もりに溢れた時間を有難うございました。